みらいへの想い

起業家
鈴木 亮平様

「スケッター」で地域住民が介護業界を支えるロールモデルを目指す

1992年生まれ。
元仙台育英学園の硬式野球部。
大学卒業後、3年間の記者生活を経て、学生時代から関心を持っていた介護分野で起業を決意し、2017年に株式会社プラスロボを創業。
資格や経験を問わず、誰もが自分のできること、空いている時間で介護業界を支えられるサービス「Sketter(スケッター)」を2019年にリリースし、令和の互助インフラ構築に取り組む。
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約7割が未経験!?
「お手伝い」で介護に関われるSketter(スケッター)とは?

 

Sketter(スケッター)」とは、無資格・未経験の方でも介護施設のお手伝いができる有償ボランティアのマッチングプラットフォームです。

「介護」と聞くと、もしかしたら特別な資格がないとできないイメージがあるかもしれません。ですが実は、食事の配膳や食器洗い、利用者の話し相手、施設によってはレクリエーションの企画、動画の作成、チラシのデザインなど資格を持っていない方でもできる業務がたくさんあります。それらの業務を「お手伝い」として掲載し、誰もが介護に関わるきっかけを提供するサービスです。

 

サービス名の由来は、困っているときに頼れる“助っ人”から名付けました。16歳から登録が可能で、登録後は数あるお手伝いの中から自分がやってみたいお手伝いに応募するだけの簡単なシステム。登録者の約7割が、介護未経験でスケッターを利用しています。

介護施設の利用者様に向けて楽器演奏を行うスケッター

介護人材不足への課題意識が起点に。
誰もが気軽に関われる機会を作りたい

 

スケッターは2018年に構想し、2019年にリリースしました。開発の背景にあるのは、介護人材不足に対する私自身の課題意識です。学生の頃から「いつか、この根深い社会問題を解決できるサービスを立ち上げたい」、そんなふうに思っていました。

 

介護は、家族に介護が必要になるなどの機会がなければ関わることのない業界です。より多くの人が気軽に介護業界に関わることができ、地域住民全体で助け合える環境を作りたいと思っていました。

 

2018年、副業が解禁されたことを皮切りに、すきま時間を活用したスキルシェアサービスが増加しました。介護業界でも同様の仕組みが作れないだろうかと考え、介護施設へヒアリングを行いました。そこで資格がなくてもできる業務が数多くあり、同時にそれらの業務を誰かに“手伝ってもらいたい”と思っている現状があることを知り、スケッターは生まれました。

地域住民で介護業界を支えるロールモデルに。
北九州市と連携協定を締結

 

約3人に1人が65歳以上の高齢者である北九州市では、介護人材の確保が切迫した課題となっています。2024年10月1日、スケッターは北九州市と連携協定を締結しました。

これまで約10自治体と連携協定を結んできましたが、政令指定都市との連携協定はスケッターにとっても初の試みです。北九州市は日本のすべての政令指定都市の中で最も高齢化率が高く、だからこそ課題解決に対してとても先進的でチャレンジングなマインドを持っています。

 

高齢化大都市のフロントランナーである北九州市との連携は、地域における介護人材確保のモデルケースになれるはず。1年後には1000人の人材と100の事業者を結ぶことを目標に掲げ、介護と関わるきっかけ作りを拡大していきます。

スケッター体験者が書く「魅力発信レポート」。
介護現場で得た気づきをシェア

 

スケッターには「魅力発信レポート」という、実際にお手伝いをした方たちが寄せる体験レポート機能があります。初めて介護に触れる方も多いため、どんなことを感じたのか、どんな発見があったのか、登録者がたくさんのアウトプットしてくれています。

 

例えば、介護とは関係のない分野を専攻している学生が、スケッターを通して話し相手のお手伝いをしたあと、「個を尊重する大切さを実感した」という体験レポートがありました。利用者が思い思いの時間を過ごしている姿を見て、一人ひとりの個性や過ごし方を尊重している様子が印象に残ったそうです。また、人生の先輩からかけてもらった「人生これからなんだから、好きなことをしなさい」との言葉に元気づけられたと締めくくられています。

 

介護に携わったことがない方が、いきなり介護職になるのはハードルが高いかもしれません。まずはスケッターを利用し、介護業界の仕事風景や施設のリアルな雰囲気を知ったり、利用者と関わってみたりすることで、きっと新しい視点が得られるはずです。

(Sketterホームページに掲載されている学生による体験レポート

スケッターが目指すのは、「令和の互助インフラ」の構築

 

日本は2040年に272万人の介護人材が必要になり、このままだと57万人が不足するとの推計を厚生労働省が発表しました。恐らく、多くの自治体が課題意識を抱え、解決の糸口を探しています。

 

今後も全国の自治体との連携を急ぎ、介護人材不足を地域住民全体で支える「令和の互助インフラ」の構築を目指していきます。「お手伝い」を通して多くの人に介護に触れてもらう入口を作り、関係人口を増やしていきます。

学生でも無資格でも未経験でも気軽に参加できることが、スケッターの一番の特徴です。とは言いつつも、未知の世界へ一歩踏み出すのは勇気がいると思います。そんなときは、友人や家族など身近な人と一緒に参加するのもいいかもしれません。魅力発信レポートを見ると、「親子で参加しました」という体験者もいます。

 

「介護に関わる」と気張らずとも、地域に貢献したい、社会勉強をしたい、ちょっと誰かの役に立ちたい、そんな想いから始められるのもスケッターです。

 

みなさんのその一歩が、そしてみなさんの存在が、間違いなく介護業界の“助っ人”になります。