みらいへの想い
イベント概要
北九州市では高齢化大都市のフロントランナーとなるべく、「介護シェアリング都市」を新たなテーマに掲げています。介護業界に携わる人を増やし、地域のあらゆるリソースを活用して介護を支える仕組みづくりを推進中です。
介護シェアリング都市の実現を目指して、11月23日(土)、「介護みらい会議」がATOMica北九州で開催されました。
「介護みらい会議」に参加したのは、未来の介護を支える40歳未満の方たち。介護事業所の経営者や介護職として現場で働いている方、学生さんなど介護に従事されている方や、介護に関心のある方たちが30名集まり、未来の介護を一緒に考え、語り合いました。
武内市長によるプレゼン「介護先進都市への挑戦」
-大都市×高齢化×テクノロジーで、「未来の介護大作戦」を始動
北九州市は政令市の中で高齢化率1位のまちとして、高齢化大都市のフロントランナーを目指し、今年6月に「未来の介護大作戦」を始動しました。技術力のあるまちの強みを活かし、「大都市×高齢化×テクノロジー」の3つを掛け合わせ、新しい未来を北九州市からつくっていきます。
環境(フィールド)、人(パーソン)、世界(グローバル)を柱に、「北九州モデル」を推進し、世界をリードする介護先進都市を目指したいと考えています。

「北九州モデル」とは、テクノロジーを活用した業務改善手法です。介護に関するあらゆる業務を洗い出し、一つひとつ分析をして、どの部分にICTやロボットが置き換えられるのか実証してきました。実践した介護施設では、業務時間が約35%、夜間の見守りが約62%削減され、利用者とのコミュニケーションは約2.5倍に増加したという結果が出ています。
今後は「北九州モデル」を具現化した「未来型介護モデル施設」を整備していきたいと考えています。来年7月には、介護テクノロジーを実際に見て体験できる場として、「テクノケア北九州(仮称)」も開設する予定です。
こうした北九州市の取り組みは、国内外から高い評価を得ています。特にアジア諸国からの視察が多く、「北九州モデル」に学ぶ動きが広がっています。
-多様な人材を活用し、地域ぐるみで介護を支える
今年10月、北九州市は「介護シェアリング都市」の構想を発表しました。介護職だけではなく、地域全体でいろいろな人たちが介護をシェアして支えていこうという考え方で、多様な形で人材を活用していく新たなチャレンジです。
「介護シェアリング都市」を実現するためには、裾野を広げる必要があります。介護スタートアップ企業との連携、若手介護人材のコミュニティ形成、外国人人材の育成支援などを通して、介護に関わるきっかけづくりや仲間づくりをしていきます。

そのための施策として、北九州市は介護人材のマッチングプラットフォーム「Sketter(スケッター)」と連携協定を結びました。これは政令市発、九州初の試みです。
学生さんからシニアの方まで介護に興味がある人を広く集め、ご自身に合った方法で関わっていただけるように支援します。1年後には、有償ボランティア1,000人、介護施設100事業所の参加を目標にしています。
-未来に向かって介護の世界を進化させていきたい
「介護みらい会議」は、多様な人材が垣根を越えてつながるためにスタートしました。北九州市の介護の未来を担う次世代リーダーの掘り起こし、若手介護人材のネットワークづくりやコミュニティ形成をサポートできればと考えています。
私はいろいろな業界の方と議論してきましたが、特に介護の業界は正解も間違いもないと感じています。例えば弁護士には法律という基準があり、それに合わせて判断できますが、介護に答えはありません。だから奥深いし、培った経験やスキルが反映されると思うのです。〇か×かではなく、最適な△を見出していくことが大事なのではないでしょうか。
学校で学んだことは決して無駄にはなりませんが、法人、現場、スタッフ、利用者や家族など、状況や人によって最適な答えは変わっていきます。それぞれに合わせて対応していけるのがプロの仕事だと思います。AIやテクノジーがどんなに発達し、世の中が変わったとしても、介護は絶対になくなりません。人が人をケアする仕事は必要とされるからです。
だからこそ、未来に向かって少しずつでも介護の世界を進化させていきたい。そんな道のりを皆さんと一緒に歩んでいきたいと思っています。一緒に頑張っていきましょう。

北九州の介護を盛り上げる企業によるピッチ
-株式会社プラスロボ 代表取締役CEO 鈴木亮平さん
介護福祉特化のシェアリングサービスとして、有償ボランティアのマッチングアプリ「Sketter(スケッター)」を提供しています。介護職員だけでなく、地域住民に多様な方法で介護業界に関わってもらうことを目指しています。
今年10月、スケッターは政令市では初めて北九州市と提携しました。北九州市は、介護について真剣に考え、動いている自治体だと感じています。労働人口が減っていく中、みんなが自分にできることで関わる「一億総福祉人」という形をつくれば、介護の問題はなんとかできると思います。皆さんと一緒に大きな流れをつくっていきたいです。

-Release株式会社 代表取締役 椛山隆文さん
「介護現場をカイホウする」ことを目指し、北九州市で介護施設を運営しています。他にも介護システムの運営、IT人材の育成事業を展開し、介護業界とITサービスを結びつけていきたいと考えています。 私自身は26歳で介護施設を立ち上げ、タブレットの活用などシステム導入によって業務改革が少しずつ進んできたことを実感してきました。
IT環境の構築は、現場の人たちが働きやすい環境をつくり、利用者さんが喜ぶ介護につながると信じています。北九州市から全国、世界を巻き込んでいける活動ができたらいいなと思っています。

-株式会社Buildz 代表取締役 佐藤暉佑さん
介護の現場で提供できることに限界を感じ、保険外として取り組めるのではないかと考えて起業しました。「オーダーメイド自費サービス ももたろう」を立ち上げ、看護、リハビリ、介護などの保険外サービスを提供しています。現在スタッフはおよそ60名、看護師、療法士、ヘルパーなどがいます。月間訪問件数は800件ほどです。
介護業界では、財源と人材という2つの不足がさらに進行すると思います。医療・介護保険制度上での業務の境界を明確にしてサービスをすみ分け、保険外の業務は私たちのような業者が担い、共存していく必要があると思います。

-NPO法人タダカヨ 次田芳尚さん
北海道札幌市で居宅介護支援事業所を運営しています。私たちの会社は、ケアマネージャーの新しい働き方を模索してつくりました。出勤はしないのでタイムカードはなく、副業も自由で、仕事とプライベートを両立できる働き方を実践しています。ケアマネの仕事は一人で全部やることが多いため、支援をするバックオフィス部門をつくりました。他の会社からも外注先として利用されています。
雇用を自由にすれば働き方が変わり、副業によって収入が増え、テクノロジーを使えば仕事時間を短縮できる。こうした取り組みをどんどん広げていきたいです。
介護みらい会議ワークショップ
参加者と共に北九州市の介護の未来について考え、アイデアを出し合うワークショップを行いました。
未来につながるアイデアを出す最初のステップとして、「介護領域における未来に残したくない課題」を一人ひとり考え、付箋に書きました。1枚につき1つずつ、思いつく限りたくさん出していきます。付箋に課題を書いたら、他のグループの人と2人組になり、ペアワークをしました。「あなたが、介護領域における未来に残したくない課題はなんですか?」と質問し、理由も聞きながらお互いに話しました。
その後グループに戻って、自分が書いた課題と、ペアの方から聞いた課題を共有しました。付箋を机の上に貼り、みんなで見てみると、共感できる課題がたくさんあったようです。
たくさん出された課題の中から、話し合って特に解決したい課題を3つに絞りました。
いよいよアイデアワークのスタートです!
選んだ課題を解決するためのアイデアを、グループのみんなで考えました。「こんなことできたらいいな」という思いを大切に、夢のようなアイデアも大歓迎。ワイワイ意見を交わしながら、アイデアの概要やイメージ、Before(そのアイデアがない世界)、After(そのアイデアがもたらす価値や変化)をシートに記入していきました。
次は「ぐるぐる発表会」。メンバーが発表チームと聞き手チームに分かれ、聞き手チームは自由に動いて別のチームをぐるぐる回り、発表チームはその場に残ってやってくる人たちにアイデアを話します。途中で発表と聞き手のチームが入れ替わり、両方を体験しました。人が動き出すと会場は熱気に包まれ、さらににぎやかな雰囲気になりました。
発表会が終わったら、一人ずつペンを持って、いいなと思ったアイデアに3票まで投票。自分たちのチームに入れてもOK! アイデアシートの右上に、☆マークを付けて投票しました。そして、たくさんの票が集まったアイデアが、全員の前で発表されました。
ICT活用、イメージアップ、業務の効率化など15のアイデアから選ばれたのは、「多様性のない職場」「介護職のマイナスイメージUP戦略」「街が事業所」「こどく死0(ゼロ)計画」の4つです。
❶「多様性のない職場」を未来に残さないために、短時間デイサービスの設立や多様なスタッフが働く職場をつくるアイデアを発表。マッチョの介護や、ギャルだけのデイサービスという楽しい未来が示されました。
❷「介護職のマイナスイメージUP戦略」は、介護の日本代表をつくってW杯を開催しようという構想です。目指すはもちろん優勝! 介護の世界から大谷翔平のようなヒーローを生み出し、若者に夢を与えたいという思いが語られました。
❸「こどく死0(ゼロ)計画」は、孤独死をなくすためにシニア世代のパートナーや仕事を斡旋するプランです。スケッターを活用して、社会的な役割や生きがいづくりを支援し、閉じこもる選択肢をなくしていきます。
❹「街が事業所」は、人材不足を解決するために地域全体を巻き込む作戦です。介護サービスを施設で完結するのではなく、商店街や銭湯など地域の施設を使って提供していきます。デイサービスは設備や時間に規制があるため、街全体を舞台にして関わる人も増やしていこうというアイデアでした。
いろいろな人と交流し、意見を交わしながら、介護の未来を考えた1時間半。改めて全員のアイデアを称え、みんなで大きな拍手をして笑顔でワークショップを終えました。
参加した方からは、「人の考えの違いが勉強になった」「周りの方にとても刺激を受けた」「多職種交流が必要だと改めて感じた」という声が上がり、新しい発見や気づきがたくさんあったそうです。
また、「悩んでいることや考えていることは、同じなんだなと思った」「みんなが感じている課題は似ている」「自分が大変だと思っていた業務を、周りも同じように考えていて、どう対策するか話し合いができた」「新たなアイデアの共有ができた」という共感の声も多く、同じ思いを持つ仲間づくりの機会になりました。
「北九州の介護の未来は明るいと期待できた」「北九州の介護に対する熱意を感じられ、この業界に大きなポテンシャルが秘められていることを実感した」という前向きな感想や、「介護みらい会議を、ぜひこれからも続けていってください」と継続を望む声もたくさんいただきました。
イベント終了後には、「介護みらい会議vol.2」の開催も決定! 介護のワクワクする未来に向けて輪を広げ、さらにパワーアップしていきます。