みらいへの想い

働く人
栗田淳二さん

テクノロジー導入で業務効率アップ!~北九州の介護現場から~

社会福祉法人南風会
理事長
SHARE!!
X facebook LINE

まごころをデータがつなぐ、新しい介護のかたち

昨今、介護業界ではテクノロジーの活用が広がっています。

 

北九州市の社会福祉法人南風会では、生成AIやグループウェアの活用など新しいテクノロジーを積極的に取り入れ、先駆的な取り組みをしています。

 

11月22日(土)、「テクノケア北九州」オープンに合わせて開催された2025年度「第1回介護みらい会議」では、同会理事長の栗田淳二さんに、ICTを活用した事業運営についてお話いただきました。

 

※2025年度「第1回介護みらい会議」のレポートはこちらから

社会福祉法人南風会は、北九州市で特別養護老人ホーム、デイサービスセンター、ショートステイ、居宅介護支援事業を展開しており、理事長の栗田さんは、特定社会保険労務士、ITコーディネーターとしても活躍しています。

デジタル技術を活用して成長していくために

ITコーディネーターって、皆さん聞いたことはありましたか?

 

企業のIT化をサポートするために、専門的なアドバイスをするのが私たちの役割です。ITコーディネーターにも二通りありまして、私はIT系ではなくて経営系のほうなので、事業計画を作成するのが主な仕事です。

 

事業所のビジョンや理念をつくり、具体的な行動目標まで落とし込んで、IT化を進めるお手伝いをしています。

 

例えば、南風会の理念は「すべての高齢者が尊厳をもって暮らせる社会の実現」、ビジョンは「地域包括ケアの中核法人として質の高い介護とDXを両立させる」を掲げています。

これを経営目標や行動方針、年度計画、具体的な施策に落とし込み、「事故発生率8%未満」「研修10回実施、受講率90%」などの数値も入れて、評価基準を分かりやすくしています。

 

 

企業がデジタル技術を活用して成長していくためには、段階的なアプローチが重要です。デジタル変革には3つの段階があります。

 

1つ目がIT化で、基本的なデジタルツールを導入する段階です。

 

2つ目がデジタル化で、導入したITを使って業務を効率化します。例えば紙の帳票をExcelに置き換える、介護記録を電子化することなどです。

 

3つ目がDX化。顧客の満足度や稼働率のデータを分析して、新しい介護サービスモデルを立ち上げるなど、ビジネスモデルや経営そのものを変革していきます。

ITツールを組み合わせて情報を共有する

南風会では、施設の業務にITを利活用し、Excel、Google、生成AI、サイボウズなどを組み合わせて使っています。

2003年にサイボウズOfficeというグループウェアを導入し、幅広く活用してきました。

グループウェアとは、スケジュール共有、掲示板、ワークフロー、ファイル管理などを通じて、情報共有と業務効率化を支援するクラウド型業務管理ツールです。

このグループウェアは、居宅のケアマネージャー、特養、デイサービス、ヘルパー、非常勤のパートさんも含め、全員が使用しています。

出勤退勤の打刻、年次有給休暇や超過勤務の申請、物品購入伺い、メールでの連絡なども全部グループウェアで行います。

マスタープランを作成するときは、グループウェア上で会議をします。対面形式だと現場を離れる必要があるため、オンラインで1カ月くらい協議を繰り返します。

スケジュールも共有しているので、メンバーが空いている時間を見て会議を設定することもできます。

自分が予定を入れなくても、他の人が入れることもあるので、毎日チェックするのがお約束ですね。

 

 

記録に関しては、ケアカルテとGoogleスプレッドシートを使っています。

Googleの中で共有できるシートを作り、それをQR コードにします。

QR コードはトイレの裏側やオムツカートなど、ご家族には見えにくい場所に貼り付けて、各自がiPadで読み込んで記録を共有しています。

 

 

勤務表はExcelで作成しています。

自動的に1日から31日までチャートが出るようになっていて、誰がいつどのくらい勤務するのか、職員配置をひと目で確認できます。

勤務表ができるのと同時にグラフ化し、役割分担表も作成します。

これもすべてExcelで連動しています。

生成AIの活用で業務を効率化する

生成AI(Chat GPT)は、職員の 4 割が使っています。

議事録や報告書の作成、マニュアル作成、利用者配布用の食事のメニュー表などにも活用します。

介護記録からのモニタリング、ケアプランの作成もAIで行います。

 

 

うちの施設の場合、ケアプランを作成した後に、利用者さん1人ずつの「介護サービス展開手順書」を作っています。

24時間で1名約50種類のサービスがあり、特養の場合は70名の入居者がいるので、約3,500種類の介護サービスの管理をすることになります。この手順書もAIで作成します。

介護職は基本的に記録を書くだけ。

3カ月分くらいの記録をまとめてAIに入れると、40秒くらいで自動的に作成できます。

AI から知恵をもらってできた手順書をもとに、最終的には職員が判断して完成させます。

 

介護サービス提供会議では、Auto Memoで録音し、自動で音声テキストにしてAIで議事録を作成しています。

その議事録を共有し、各事業所に確認を取っています。

内容を要約したい場合は「300字でまとめてください」とChatGPTに指定することもできます。

 

議事録のAI活用によって、事務作業や連絡業務の時間が大幅に減り、介護支援専門員の直行直帰が可能になりました。

有給休暇の消化にもつながっています。

 

議事録作成で基本的にお金がかかるのは音声レコーダーぐらいです。

ケアマネさんの業務改革になるので、ぜひ活用してみてください。

AIはとても便利ですが注意点もあります。

議事録で固有名詞などが間違っていることがあるので、最後に必ずチェックするようにしてください。

また、情報漏洩には気を付ける必要があります。

AIを業務で利用する際は、しっかりルールを決めて正しい使い方を徹底することが大事です。

車椅子洗浄機、見守りシステムなど介護を支える新しい設備

最後に、施設で活用しているさまざまな設備について紹介します。

ITと関係ない設備もありますが、介護の質を上げるために役立っています。

 

 

骨伝導式のインカムは40セットほど使っていて、ナースコールや救急車の呼び出しなどがあれば、インカムを通して聞こえるようになっています。

状況を共有しながら、連携して動けるメリットがあります。

 

最近導入したのが、「眠りコネクト」という見守りシステムです。

以前使っていた「眠りスキャン」から新しく切り替えました。

ベッドにセンサーを取り付けることで、睡眠の状態をモニタリングすることができます。体重も測れて記録が取れるため、健康状態を把握してケアにつなげています。

褥瘡防止については、体圧測定器で体圧を測り、マットレスを使い分けて除圧をしています。

「車いす洗浄乾燥機」は、車いすを丸ごと洗って乾燥できる装置です。感染対策として導入しました。

トイレには、車いすからトイレに座るための「天井吊りリフト」があります。

感染対策のために、おむつを容器に入れると真空パックで出てくる「おむつ真空パック」も備えています。

 

 

施設内の掃除は、自走式掃除機を使っています。

走行ルートとエリアを登録すれば、障害物を回避しながら動きます。

毎日、施設中をきれいにしてくれる働き者で、職員が掃除をする手間が省けています。

 

こうした設備も利用して、利用者さんにとっても、職員にとっても、良い環境をつくれるよう工夫しています。

 

 

今日ご紹介したIT活用システムや設備について興味がある方は、気軽にご連絡いただき見学にいらしてください。事業所の枠を越えて、介護に携わる同志としてお役に立てればと思います。