みらいへの想い

生演奏に歌にダンス……ここって介護施設!?
アマリリスエンターテイメントデイサービスは、通いで食事や排泄介助、機能訓練などを行い、自立した生活を送る支援を提供しています。当施設の最大の特徴は、「介護×エンターテイメント」の融合です。ミラーボールが輝くダンスホールさながらの空間で踊ったり、手作りのお神輿を担いだり、ライブ会場のようにペンライトを振ってコンサートを楽しんだり。「本当に介護施設?」と思うかもしれませんが、これこそがアマリリスエンターテインメントサービスの特徴です。
“アマリリス”という名前の由来は、大好きだった私の祖母の言葉にあります。祖母は、“心”をとても大切にする人でした。余命宣告を受けたあとも、「お世話になった人に最後のご挨拶を」と病気の身体でありながら挨拶周りをしていた姿は心に強く残っています。自分を後回しにしてでも相手の気持ちを優先する姿を、今でも尊敬しています。祖母の影響を受け、今まで諦めず自分を信じたからこそ今の私の生き方がある。祖母の残した「アマリリスを見たら私を思い出してね」という言葉から、施設名に “アマリリス”を入れました。
笑顔を取り戻すために。メイド服から始まった挑戦
私がこの業界に足を踏み入れたのは、今から15年前のこと。運営会社が介護事業を立ち上げることになり、介護の「か」の字も知らない私が責任者に抜擢されました。運営を手探りで進める中で、併設している住宅型有料老人ホームで初めて夜勤をしたことが転機となりました。それまで1日以上利用者と時間をともにすることがなかったのですが、一緒に過ごす中でいろんな話をし、感謝を受け取り、「この施設を利用者にとって家のような場所にしたい」という想いが芽生えました。以来、介護の仕事の楽しさを感じ、小学生の同級生も施設に誘い、今でもメンバーとして参画してもらっています。
しかし、2020年にコロナ禍になり、施設内に閉塞感が漂うようになりました。外出や他者との接触が制限され、レクリエーションを行うも今ひとつ盛り上がらない。そんなある日、利用者の一人が「こんな無駄な時間を過ごすくらいなら、死んだほうがマシだ」と言ったことが、私の心に刺さりました。すぐに「何とかしなければ」と思い、ふとひらめいたのが、「メイド服を着て食事の配膳をするのはどうだろう?」でした。少しでも笑ってくれればと思っていたところ、まさかの大好評!それをきっかけに、「どうすれば利用者を笑顔にすることができるのか」を考え、行き着いたのがエンターテイメントだったのです。健康は、単に身体の機能を維持することだけではなく、心が前向きで生き生きしていることの両方で成り立つもの。笑顔やポジティブな感情が、心の健康を支える栄養になります。
エンターテイメントは、職員の働きやすい環境作りにも
実は、開設当初は他施設と同じように健康器具を使った運動訓練をしたり、温浴設備を充実させたりして、利用者に楽しんでいただける工夫をしていました。しかし、どれも他施設と比較したときに差別化できない現状がありました。マシーンを使った単調な運動では、利用者に飽きられてしまうことも。そこで健康維持と楽しさを両立させるために生み出したのが、「ながらレク」と「運動レクリエーション」です。
「ながらレク」は、レクリエーションをしながら機能訓練ができているというレクの手法。私たちは最初に、訓練すべき機能を決め、その機能を向上させるにはどういったレクがいいのか、という順でレクを考えています。「機械」がなくとも、タオル1枚、ボール1個で機能向上が実現できるんです。さらに、指先を使うボール投げはただ投げるだけでなく、チーム対抗戦にして点数を競うゲーム形式にします。これが、「運動レクリエーション」です。「勝ちたい!」「チームのために頑張りたい!」との気持ちがあると、利用者も前向きに取り組んでくれます。さらに応援や会話が生まれ、コミュニケーションも自然と活発に。合間にはゲームの結果発表や職員による一芸披露など「アイスブレイクタイム」を挟むことで飽きさせない工夫をしています。
初めは、こうした仕掛けを私一人で行っていました。ですが、徐々に職員も「こんなのはどうですか?」とアイデアをくれるようになり、今ではすっかりみんなが巻き込まれてくれています(笑)。私は、職員のアイデアとひらめきは「いいじゃん!やってみなよ!」と、まず実践することを大切にしています。何が利用者を笑顔にするかは、トライしてみないと分かりません。エンターテインメントに関しては、職種や職位も関係なく、フラットにみんなで考えるのが当施設の強み。そして、レクリエーションの最中は、前に出て盛り上げる人がいれば、利用者にそっと寄り添う人、後ろから見守る人など、それぞれの個性を生かしながら連携をとっています。利用者はもちろん、エンターテイメントを通じて職員同士のチームワークも磨かれることが、働きやすい環境作りにも繋がっています。
北九州市から世界へ。介護×エンターテイメントの可能性
当施設のエンターテイメントは、職員が目立つためではなく、利用者を喜ばせたいという一心から始まりました。それが今や、多くの介護施設が「取り入れたい」と思うエッセンスの1つになったと感じています。日本全国から視察に訪れる関係者が増え、さらには海外からの視察を受け入れることも。北九州市から世界へ、エンターテイメントを取り入れた新たな介護の魅力を発信していくことが私の目標です。
私自身、介護業界に足を踏み入れたとき「3K(きつい・汚い・危険)」のイメージを持っていました。しかしこれからは、それを「3W(笑い・ワクワク・ワンダフル)」に変えていきたいと思っています。介護は、人の人生と命を預かる責任の大きな仕事だからこそのやりがいはもちろん、利用者の笑顔が間近で見られ、「楽しいね」という言葉を聞くことができ、何より感謝がダイレクトに伝わる、魅力的な仕事。全ては“心を動かす”ことから。これが、アマリリスエンターテインメントサービスらしさです。